リアス式海岸で有名な三陸海岸には、北上高地をはじめとする自然豊かな山々から、プランクトンの栄養源となるミネラルを多く含んだ水が流れ込みます。また、親潮と黒潮がぶつかる潮目にあたるため、プランクトンが大量に発生する場所でもあります。このような山と海の豊富な栄養によって、多くの魚たちが集まるため、三陸海岸は、世界三大漁場と称される豊かな漁場となりました。もちろん、そこで育つ、うにやあわびもこの豊かな海で大きくなります。三陸の海の幸が高品質だと言われる所以は、そこにあるのです。
中村家は、昭和初期の開業当時からこの海と共に歩んできました。三陸の海の幸の素晴らしさをもっと広めたいという思いで、現在も釜石で地場の食材にこだわった製品作りに励んでいます。ここでは、そんな中村家の素材に対するこだわりをご紹介いたします。
古来より朝廷への献上品として珍重され、漁師さんにとっては海の小判と称されるあわび。北緯・南緯38度近辺での漁獲量が多く、日本では岩手が、質・量共に日本一を誇ります。岩手県産のあわびは「エゾアワビ」と呼ばれ、クロアワビよりも冷水域に分布するため、身は小ぶりですが、肉質・味共に上質なものが多く、そのほとんどが最高級の干しあわびとして中国に輸出されます。中村家では、その貴重なあわびを海外だけではなく、国内の皆様にも召し上がっていただきたいと思い、三陸海宝漬をはじめとする製品に使用しています。入札権を持っているため、市場に出回る前に浜から直接、新鮮で質の良いものを買い付けることができます。
三陸地域では、わかめの養殖が盛んです。わかめの養殖や塩蔵わかめの技術は、釜石市の隣に位置する大船渡市でその基礎が作られ、全国に広まりました。自然豊かな山々から流れ込む水が、わかめの生育を助け、岩手県はその生産量が日本一となっています。めかぶは、わかめの根本のひだの部分を指します。シャキシャキと歯触りがよく、また粘り強い三陸産めかぶは、一般的な食材として、この地域の家庭ではよく食べられます。中村家では、これをこだわりの醤油ダレに漬け込み、ご飯によく合う味に仕上げています。
日本で一般に多く出回っている鮭は、身の色が淡いピンクなので、和名でシロザケと呼ばれます。地域によっては、うろこが銀色に輝いていることから、銀毛鮭と呼ばれたりもします(ギンザケとは異なります)。岩手県の秋鮭漁は、定置網漁が主です。この方法では、河川に遡上する前の鮭を漁獲することで、産卵準備に入る前の、皮が柔らかく、品質の良いいくらを採取・加工することができるのです。口の中で溶けるような、濃厚なうま味が、中村家のいくらの特徴です。